ナクール – nakool online shop 「他人の視線をデコレートする」という発想

オリハシとは?

折橋 知治

経歴

折橋知治の後ろ姿

1972年[昭和47年]11月29日
川崎市中原区で誕生。
ナクールの奥の部屋で2歳まで育つ。
1985年[昭和60年]
川崎市立玉川小学校卒業
1988年[昭和63年]
川崎市立玉川中学校卒業
1991年[平成3年]
神奈川県立新城高等学校卒業
1996年[平成8年]
明治学院大学経済学部商学科卒業
1996年[平成8年]
(株)キング入社
1999年[平成11年]2月
父、輝彦急逝により同3月(株)キング退社
1999年[平成11年]4月
(株)ナクール取締役 就任
2002年[平成14年]6月
(株)ナクール代表取締役 就任

自己紹介コラム「服は楽しい」~新店舗オープン、HPリニューアルにあたって、H18.12.3~

わたしとナクール、あるいは服は切っても切り離せない。
親父が創業したナクールはわたしと同い年だ。
2歳で引っ越すまで、ナクールの奥の部屋で育った自分である。
聞くところによると、開店当初、店の奥で「ドスンッ」という音がしたと思ったら、
ハイハイしながら店の方にやってきたわたしが、大量の丈直しパンツにまみれて床に落っこちて泣いていた。というのだ。
「いいにく」、もとい、「いいふく」の日に生まれた宿命を感じずにはいられないエピソードじゃないか。

幼少のころより服まみれな人生だったのだ。

普通、そういった育ち方をすると反動で「服嫌い」になってもいいはずだが、わたしの場合、運悪くそうはならずに育ってしまう。

服は好きだ。お洒落は好きで、ファッションは好きだけど
一つだけ問題があった。
ファッション、ファッション・・・とそれしか頭にない人間ってどうなんだろ?
ということだ。

昔から見栄っ張りなわたしはかっこよく生きたかった。
だけどさ、ファッションをやる人ってどこか格好悪いんじゃないの?
と心の片隅で思っていたわけだ。

この引き裂かれそうなわたしを救ってくれた一冊の本がある。

てつがくを着て、まちを歩こう。」(著:鷲田清一)だ。

ファッションにぜんぜん気がいかない人も、ファッションばかりでそれしかアタマにない人も、一見反対のことのようでじつは同じ態度を意味しているというのだ。

他人がそこにいない。または、他人に自分がどのように映っているかという、
そういう想像力の働きが、欠けてるのだ。

お洒落というのは、自分を着飾るということだけじゃない。
むしろそれを見る人への気配り、思いやりだと考えると、
服を選ぶときのセンスが変わってくる。

つまり、『他人の視線をデコレートする』という発想をどこかに取り入れること、
そういうホスピタリティや、サービス精神がファッションで一番大切な要素なのではないか。
と。

思わずこの本にすがった。
自分を着飾るというところから超越したところで
お洒落は他人へのおもいやりなのだ。
そう思えたとき、わたしはナクールを継ぐことを決意できた。

以来、『他人の視線をデコレートする』という言葉遣いを使わせて貰っている。
わたし自身にこの言葉遣いが出来る資質を持っているかどうか?
それは分からない。はっきり言って自信はない。
独りよがりで夜郎自大なファッション屋には成り下がってはいないだろうか?
という不安をいつも抱えている。

それでも幸いにして「服」を通じて様々な人に出会い、時に叱咤激励されてきた
おかげでなんとかここまで続けられてます。というのが正直なところだ。

ナクールでの多くの出会いがわたしを成長させてくれている。

その人たちが服を楽しむ様子が嬉しくてたまらない。

「ね?いいでしょ?」「最高でしょ?」

その笑顔を見るために、またその笑顔に報いるためにも
わたしはファッションに、商売に、そのときのベストを尽くすのだ。

昔、親父が言っていた。「お互いの幸せのために」と

その意味の深さが少しだけ、ほんのちょっとだけかすかに
立ち上がってきたように思える。

折橋知治の手