2008年5月19日(月) 神様からひと言

けっこうハマってしまった。
例の映画化された「明日の記憶」の著者、荻原浩。

こちらは大手広告代理店を辞め、インスタントラーメンをメインにする食品会社に再就職した主人公の話。まるで漫画のようなストーリー展開で、テンポ良く、極端にデフォルメされたキャラクターも、いい。あり得なさそうな話があり得そうな現実とのギリギリのライン。

「明日の記憶」のほうは内容もちょっとシリアスな。。。そちらと違い「神様からひと言」のほうはサクサク読め、さらに笑える、しかも声に出して。。。

内容はさておき、思わず考えさせられた箇所からいつものように話をしたい。

お客様相談室に飛ばされた主人公、佐倉涼平が、頑固なラーメン屋「げんこつ亭」のオーナーに謝罪にいく場面。
「げんこつ亭」とのタイアップ商品のプロジェクトが、先方のオーナーとの行き違いで暗礁に乗り上げていたのだった。
正直に言えば涼平も、やたらと偉そうな食い物屋というのが好きになれない。おとなしくあいづちを打つことがわかりきっている相手に威張るヤツや、自分勝手な持論をふりかざすヤツは、どんな人間でも嫌いだ。愛想が悪いだけなら許せるが、人から金をとって飯を食わせて、なおかつ怒鳴りつけるような店は、どんなに味が良くたって二度と行かない。うまいもんもまずくなる。

主人公の着想だが、そこは仕事は仕事と割り切って「げんこつ亭」に出向く。そこで『私語禁止』『六歳未満お断り』『禁煙』『雑誌、新聞のながら読み禁止』『香水禁止』といった小うるさい注意書きに、つまり、その店の流儀に辟易としながらも、一口、食したその味噌ラーメンの味に驚愕する。

思わずオリハシも唸る。(味噌ラーメン食べたいっ!と)

小うるさい注意書きはちょっと漫画チックかな。。。マニュアルっぽくて野暮だな。。。とは思うが、しかし、それがあるからこそちょっとしたテーマパークっぷりは発揮できるわけだ。こっちもそれを演じてみよう。と。「おいしいか、おいしくないか。」という個人的な好みはさておき、の話で。

オリハシ自身も一人のお客さんとして、偉そうな食べ物屋って基本的には好きではない。しかしながら、一方では、それもまたそれ。
その店の持つ雰囲気の中で、どうやってたち振る舞うのか?という点については、場数の経験と勘で乗り切ってこそだと思う。(その点において、注意書きは興ざめでは、ある。)こっちはお客さんなんだから何でも許される。っていうのも何だな。と。その店の持つ雰囲気にどうしたらなじめるだろうか?と思案するのも結構おもしろいな。と最近は特にそう考える。

街の洋服やさんのオリハシだったらどうだろうか?

けっこう小心なので偉そうなことは言えない。

ただ飲食と決定的に違うのは、服の場合ウィンドウのディスプレーを一瞥しただけで、「おっ、着てみたい」と思っても「一度のトライアル」すら出来ない。あるいは着たくもない。というケースが大半だと思う。

その反面、一目で、あるいは一回の試着でとことん気に入ってくれる人がいる。

つまり、服を選択してディスプレーするだけで、多かれ少なかれ「人を選り好みしてる」のだ。偉そうなことは言えないが、しっかり自分でやっていることは偉そうなのである。その事実はけっこうオリハシのチキンハートを引き裂く。(ターゲットを絞るって言うと簡単だが。。。)

そんなつもりはないんだけどなぁ。。。と。

嘘付くなよ。その無自覚性が怖いぜ、まったく。

よく知ってるじゃないか、みんなにいい顔は出来ないって。

友人である飲食店を経営するオーナーに言われた。
「おりげだって分かんない人には、分かってもらえなくていい!って思ってるだろ?」と。(あ、『おりげ』は昔からのあだ名です。)

う~ん、そーかな。(そんな単純には思ってない気がする。)

たしかにある。あるがしかし。。。そこを超えていきたいんだよね。

分かって貰えなくていいっ!っていうのは、その他大勢の「分かって貰ってる人」の一人一人の顔が見えた時、初めて立ち上がってくる。そー思う。だからこそ立ち向かえる「ウチはこーです!」と。

それでも控えめに言いたいものだ。
「ごめん、オレの守備範囲じゃないんだ。本当にすまない。」
くらいで。

なじみの人になってくるとこんな科白を聞くことがある。
「こんな恰好で着ちゃってすいません。」と。

「いや、別に大丈夫だよ。ぜんぜん気にしてないし。」(笑)

店内に注意書きがあるわけじゃないのに。

それでもお客さんのほうから、そー思ってくれることに心の中でとても、とても深く感謝しているのだ。

だからこそこのブログに書きつづっている。
そーいった関係性の中からこそ、その店の独自性というのは生まれてくるのではないだろうか?

と同時に、「お店と人は選んだり選ばれたりする。」その開放性を少しでも高め、確保したいがためにこの「オリハシ日記」を続けているのかもしれない。

そう、小さい声で言ってるんです。

選んで欲しいな。って。

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神様からひと言 (光文社文庫) (文庫)
荻原 浩 (著)
オリハシ日記(本) | 2008/05/19 Mon 17:59
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